相続税の基礎控除

概要

相続税は、相続開始の日から10ヶ月以内に申告及び納税が必要になります。

しかし、相続税は相続によって財産を取得した人が必ず「申告」及び「納税」をしなければならないという訳ではありません。

弊社の無料相談をご利用される方の全体の2割くらいの方は、相続税の「申告の必要がない」パターンに該当しています。

また、申告は必要ですが、「相続税の納税は必要がない」パターンに該当する方が全体の6割くらいになります。

では、どのような場合に、申告の必要がなかったり、納税の必要がなかったりするのでしょうか?

その判断には、「相続税の基礎控除」についての理解が必要になりますので、今回は「相続税の基礎控除」について、わかりやすくご説明します。

 

続税の基礎控

相続税の基礎控除とは?

相続税では、基礎控除というものが設定されており、相続又は遺贈により取得した遺産の合計額が、この基礎控除の金額を超えなければ、相続税は発生しないことになっています。

相続税の基礎控除額の計算方法

相続税が発生するかどうかの判断基準となる「相続税の基礎控除額」は、下記の算式にて計算されます。

基礎控除=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

 

法定相続人

法定相続人とは?

法定相続人とは、民法によって規定された、相続をする権利を有する人のことをいいます。

法定相続人になり得る者は、次の者になります。

 

・亡くなった人(被相続人)の配偶者

・亡くなった人(被相続人)の子や孫(直系卑属)

・亡くなった人(被相続人)の父母や祖父母(直系尊属)

・亡くなった人(被相続人)の兄弟姉妹

 

また、【配偶者は常に法定相続人に該当】しますが、配偶者以外の者については次の順で法定相続人となります。

第1順位 ⇒ 子供や孫(直系卑属)

第2順位 ⇒ 父母や祖父母(直系尊属)

第3順位 ⇒ 兄弟姉妹

 

例)

・亡くなった人(被相続人)に子供がいる場合の法定相続人

 子供(配偶者がいれば配偶者も法定相続人)

・亡くなった人(被相続人)に子供がいない場合の法定相続人

 父母(配偶者がいれば配偶者も法定相続人)

・亡くなった人(被相続人)に子供も父母もいない場合の法定相続人

兄弟姉妹(配偶者がいれば配偶者も法定相続人)

 

法定相続人の数とは?

基礎控除の計算式にある「法定相続人の数」は、次のとおりの数となります。

1 配偶者がおり、子供がいる場合

  ⇒配偶者+子供の合計人数

2 配偶者がなく、子供がいる場合

  ⇒子供の合計人数

3 配偶者がおり、子供がいなく、親がいる場合

  ⇒配偶者+親の数(父母とも存命の場合=2人)

4 配偶者がおり、子供がいなく、親がいなく、兄弟姉妹いる場合

  ⇒配偶者+兄弟姉妹の合計人数

5 配偶者がなく、子供がいなく、親がいる場合

  ⇒親の数(父母とも存命の場合=2人)

6 配偶者がなく、子供がいなく、親がいなく、兄弟姉妹がいる場合

  ⇒兄弟姉妹の数

 

注意)1 相続の放棄があった場合

相続を放棄した者がいた場合であっても、基礎控除額の計算式の「法定相続人の数」には含みます。

注意)2 子供に養子がいる場合

子供に養子がいる場合には、民法上の「法定相続人」には該当しますが、基礎控除額の計算式の「法定相続人の数」への算入については、次の制限があります。

  • 亡くなった人(被相続人)に実子がいる場合

  ⇒「法定相続人の数」への算入制限=1人

  • 亡くなった人(被相続人)に実子がいない場合

  ⇒「法定相続人の数」への算入制限=2人

注意)3 遺言による財産の取得者(法定相続人以外)がいる場合

法定相続人以外の者が遺言によって財産を取得した場合であっても、その者は法定相続人ではないので、基礎控除額の計算式の「法定相続人の数」への算入はできません。

 

相続税の基礎控除額の具体例

・ケース1 配偶者と子供

(法定相続人=配偶者+子供3人)

 3,000万円×4人×600万円=5,400万円

・ケース2 配偶者と親

(法定相続人=配偶者+父)※母は既に他界

 3,000万円×2人×600万円=4,200万円

・ケース3 配偶者と兄弟姉妹

(法定相続人=配偶者+兄弟姉妹5人)

 3,000万円×6人×600万円=6,600万円

・ケース4 親

(法定相続人=母)※父は既に他界

 3,000万円×1人×600万円=3,600万円

・ケース5 配偶者と実子と養子

(法定相続人=配偶者+実子1人+養子3人)

 3,000万円×3人×600万円=4,800万円

※実子がいる場合の養子は何人いてもカウントは最大1

・ケース6 配偶者と養子

(法定相続人=配偶者+実子0人+養子8人)

 3,000万円×3人×600万円=4,800万円

※実子がいない場合の養子は何人いてもカウントは最大2

・ケース7 配偶者と兄弟姉妹と甥・姪(代襲相続)

(法定相続人=配偶者+兄弟姉妹2人+甥1人+姪1人)

 3,000万円×5人×600万円=6,000万円

※法定相続人になるはずの兄弟姉妹が他界している場合には、

1代に限り代襲相続となる。

 

相続税の基礎控除額の推移

・昭和62年以前

 2,000万円+法定相続人の数×400万円

・昭和63年~平成2年

 4,000万円+法定相続人の数×800万円

・平成3年~平成5年

 4,800万円+法定相続人の数×950万円

・平成6年~平成26年

 5,000万円+法定相続人の数×1,000万円

・平成27年~現在

 3,000万円+法定相続人の数×600万円

 

まとめ

相続税の基礎控除については、それほど難しくなないと思いますが、何か不安な部分がある場合には、是非、専門家に確認してみてください。

 

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